about stii

モデル事務所として新しいカタチを目指してstiiは生まれました。

事務所に所属したことのないモデル志望の方なら、モデル事務所というと、所属さえすれば売り込んでもらえ、仕事がもらえると考えているかもしれません。

モデル業界の現実は違います。そこまで甘くありません。

 

あるメンズモデルの話をします。

 

彼は苦学生で学業のかたわらエキストラのバイトをしていました。そこでモデルにスカウトされました。

モデルの魅力について熱く長く語られました。

彼の親も呼ばれさらに語られ、とうとう彼はすっかりモデルになる気になりました。

すると膨大な100万円近い費用がかかることを聞かされました。

払ってでもモデルをする気でしたが、無い袖は振れず、そのスカウトの話は断りました。

 

モデルを諦めきれなかった彼は費用が少ない別のモデル事務所を探しました。

そこで関西では大手だと評判の事務所に入りました。

その事務所はモデル志望の新人が多く集まり、プロモデルの講師が多数在籍していました。

レッスンの費用も良心的で、彼は持ち前の真面目さで熱心にレッスンを受け続けます。

一年経ちました。

彼はレッスンの内容を恐ろしく速いスピードで習得し、レッスンでこれ以上得ることは何もない状態です。

プロモデルの講師すらそう認めました。

まだ仕事は一度もありません。モデル志望の仲間も同様でした。

「仕事がもらえるようになるためには何を努力すればいいですか」

彼はモデル事務所の人に毎日のように聞きます。

 

「クライアントに提出する写真が悪いのではないか。撮り直そう」

撮影費用は自分で払います。

「ファッションの勉強をしよう。雑誌を読んで、普段からおしゃれして」

彼は7種類のファッション誌を定期購読しています。

勉強のためアパレルでバイトをしています。

モデルの仕事がないことにではなく、これ以上努力ができないことが悔しい。

彼の不満は溜まるばかりです。

 

「別のモデル事務所に移籍できるように推薦する」

特に親しかったメンズモデルの講師が彼にススメたのです。

耳を疑いましたが、他の講師やモデル志望生からの信頼も厚い講師です。

悪いようになるはずがありません。

 

もう半年経ちました。

結果は同じでした。

いいえ、もっと悪くなりました。

仕事がないだけでなく、レッスンもありません。彼は努力すべきことが一切ありません。
努力すべきことをやりきったのなら、成果が欲しい。そんな時また例の講師は持ちかけました。「知り合いの店が困っててバイトに来てほしい」

バーでのバイトの話でしたが、彼はこれ以上バイトを掛け持ちできないため断りました。

「バイトしてくれたら○○コレクションに出してあげる」

彼は断れるわけがありませんでした。

○○コレクション(具体名は伏せます)は彼の当面の目標・理想でした。

彼はアパレルのバイトを辞め、講師が紹介するバイトを受けることにしました。

 

「バーと言われて来たのですが…」

ホストクラブでした。

 

見れば最初の事務所のモデル志望生が何人もいました。

約束の○○コレクションはとうに過ぎました。

出れませんでした。

何度もホストを辞めようとしました。

 

時給は飲食店と同じ。交通費なし。

27時あがり。タクシーチケットなどくれません。

始発まで時間を潰してから帰宅しないといけません。

彼は毎月ホストクラブの店長が例の講師に現金を渡しているのを知っていました。

仕事内容への不満や○○コレクションの話への裏切り。

毎夜毎夜朝まで働いたたため彼は大学の単位を落とし留年一歩手前の状態でした。

ホストクラブの店長は彼が辞めると言うたび声を荒げて聞きませんでした。

むしろ大学を辞めて昼も働くように言われました。

 

結局彼は彼の親がホストクラブに乗り込んで辞めることができました。

彼と同じくホストクラブで働いていたモデル志望生のその後の話もあります。

何人かは田舎に帰り、一人はモデルを辞めてホストに、何人かはずっと音信不通だそうです。

 

彼の、彼らの夢はなぜかき消されたのでしょうか。

 

もちろん、これだけがモデル業界ではないでしょう。すんなり上手くいく人も大勢いるでしょう。

この話は極端な一例にすぎないかもしれません。

けれども、ほんの一例でも事実は事実です。

 

若干20歳で夢を見失った彼を、私は見過ごすことができず手を貸しました。

2ヶ月。

彼が週末にブライダルの仕事をするようになるまでの時間です。

私がしたことはとても簡単なことです。

事務所がモデルを売り込み、モデルが事務所にお金を払う。これが従来のモデル事務所です。

対してstiiは、モデルが自分自身を売り込むことができる仕組みを作ります。

従来の事務所のやり方では、モデルは完全に受け身です。

stiiではモデルが仕掛ける側です。

逆に言うとモデルが能動的に動かないと何の成果もありません。

自ら勉強し、経験し、努力してモデルの道を目指す方、ぜひstiiで頑張りましょう。

ただモデルという肩書きで周りにチヤホヤされて満足する方は余所へお願いします。